【公共施設】保育所の用地不足と公園 ー都市公園法と保育所ー
保育所の用地不足
公園についての記事の第2弾です。
近年では女性の働き方の変化もあり、保育所へのニーズが高まっています。
待機児童ゼロ目標を掲げる自治体もありますが、達成は難しいものです。
都市部を中心に保育所が慢性的に不足しており、保育士不足とともに保育所用地の不足が課題になっています。
都市公園法と公園の規制
自治体が設置・管理する公園については、都市公園法や都市緑地法が関連してきます。
都市公園法でいえば、平成15年の法改正により仮設の占有物件の設置が可能になり、公園内でのイベント開催の道が拓けました。
また、平成16年には公園施設(売店を含む)の設置・管理を民間事業者も行うことができるようになり、公園内に民間事業者が売店を設置・管理することが可能になりました。
しかし、現在の都市公園法による規制のもとでは公園内に保育所は設置できません。
国家戦略特区と公園内保育所
全国的には都市公園法による規制を受けるものの、
東京都では国家戦略特区の活用によって、都市公園の敷地内に保育所等施設の設置に係る都市公園の占用が可能になり、公園内に保育所を設置できるようになりました。
この規制緩和により、東京都では平成29年4月1日から公園内保育所として4園が開設予定です(荒川区 都立汐入公園、世田谷区 都立祖師谷公園、世田谷区 都立蘆花恒春園、品川区立 西大井広場公園)。
国家戦略特区での規制緩和の全国展開
国家戦略特区は岩盤規制を緩和していく実験的な手法としても利用されており、今回紹介した東京都と同様に公園内に保育所を設置できるようにする規制緩和(都市公園法改正)が全国展開されることが検討されています。
保育所の用地不足問題と捉えると都市部が中心の課題と捉えられますが、公園の維持管理費低減(保育所設置に伴う使用料等)の観点からは地方においても検討されてもよいのではないでしょうか。
参考書籍
公園のマネジメントについて詳しく知りたい方は次の書籍が参考になるかと思います。
「RePUBLIC 公共空間のリノベーション」(馬場正尊+Open A、学芸出版社、2013年)
難易度★★☆☆☆
公共空間のリノベーションについて豊富な事例を交えながら解説しています。
公園のリノベーション事例役所、学校、図書館など事例を交えながら公共空間のリノベーションの可能性について解説しています。
分かりやすい事例とともにイラスト豊富で非常に読みやすいながらも内容はしっかりとしていて、公共施設等の今後のあり方を考える際にもオススメの一冊です。
こちらは続編です。
- 作者: 馬場正尊,Open A,木下斉,松本理寿輝,古田秘馬,小松真実,田中陽明,樋渡啓祐
- 出版社/メーカー: 学芸出版社
- 発売日: 2015/04/10
- メディア: 単行本
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