地方公務員のための情報発信地

公務員、特に自治体職員に関わる情報をオススメの本の紹介とあわせて発信していきます。財政ネタが多めです。

公共施設マネジメントと公共施設等総合管理計画

公共施設等の老朽化

日本の公共施設やインフラ(以下、公共施設等)は主に1950年代から1970年代の高度経済成長期に多くが整備されました。
これらの公共施設等の多くは整備から50、60年が経過し、更新時期を迎えるとともに老朽化が深刻な状況になっています。 

 地震が起きた際に老朽化した公共施設が損害を受け、避難所として使えないといった事例や、日常では壁のタイルやコンクリートが剥がれ落ちるといったことも起きています。

 

また、インフラの老朽化では笹子トンネル天井板事故という悲惨な事故も起きています。

それは、日常で車を運転し、トンネルを日々利用している私たちにとって非常に驚きと悲しみの深いニュースでした。

笹子トンネル天井板落下事故(ささごトンネルてんじょうばんらっかじこ)は、2012年12月2日に山梨県大月市笹子町の中央自動車道上り線笹子トンネルで天井板のコンクリート板が約130m の区間にわたって落下し、走行中の車複数台が巻き込まれて9名が死亡した事故である。

(出所;wikipedia

笹子トンネル天井板落下事故 - Wikipedia

 

人口の減少・高齢化による施設の余剰

ご存知のように人口の減少と高齢化も進んでおり、今後もさらに人口減少と高齢化の進行が予想されています。

少子化によって小中学校を中心に空き教室が散見され、特に田舎では1学年1クラスで小学校6年間クラス替えが全くない、1学校で数人のみなど廃校の危機を迎えているケースもあります。

また、コミュニティの形も変わり、数多くある集会所の必要性も薄れたりしている事例もあります。

 

公共施設マネジメントと公共施設等総合管理計画 

国は平成25年に「インフラ長寿命化基本計画」を策定するとともに、 「公共施設等総合管理計画の策定にあたっての指針の策定について」(総務省、平成26年)を発出し、地方自治体に「公共施設等総合管理計画」を策定することを求めました。

我が国において公共施設等の老朽化対策が大きな課題となっておりますが、地方公共団 体においては、厳しい財政状況が続く中で、今後、人口減少等により公共施設等の利用需 要が変化していくことが予想されることを踏まえ、早急に公共施設等の全体の状況を把握 し、長期的な視点をもって、更新・統廃合・長寿命化などを計画的に行うことにより、財 政負担を軽減・平準化するとともに、公共施設等の最適な配置を実現することが必要となっています。

(出所:「公共施設等総合管理計画の策定にあたっての指針の策定について」(総務省、平成26年))

 

各自治体が公共施設等総合管理計画の策定を進めるなかで、現状で保有している公共施設の状況を調べると、次のような問題が判明したというケースがよく見られます。

  • 遊休状態になっている施設
  • 一部の特定の人にしか使われていない施設
  • 耐震性能が不十分な施設(災害時の避難所に指定されているケースも)
  • 合併前の旧町ごとに公共施設が整備されており、自治体全体では余剰感がある施設類型(数百名が収容可能なホール付きの公民館が旧町ごとに整備されているというケースも) など

自治体では「縦割り行政」により、各課が整備した施設の状況や全体感がこれまであまり把握されておらず、A課のB施設に余剰施設があれば、それを別のC課は知らないまま新たなD施設を作ってしまうという無駄なケースが多くありました。

公共施設等総合管理計画の目的のひとつとして、「総合的な管理」という部局横断的な「縦割り」の打開があります。

 

公共施設等総合管理計画では、市が保有する公共施設等のすべてを対象として、場合によっては公共施設等の必要性の再確認を含めた「棚卸」が行われます。

実際の策定事例を見ると、公共施設の総量(総面積)を20~30%縮減するといったものが多く、50%縮減を打ち出している自治体もあります。

 

自治体が整備する公共施設には学校や公民館、図書館といった住民に身近な施設も多く、住民への影響は大きいものです。

「縮小社会」に突入したわが国では公共施設など公共サービスの縮小も必要ですが、先進自治体では小学校の空き教室に地元住民も使える集会所や図書館、老人ホームなどを併設した公共施設など、施設全体の面積は減らしながらも住民の利便性向上や地域コミュニティの活性化を図っている事例も見られます。

 

これまでの「縦割り」を超えた取組みにこれからも注目していきたいものです。

 

参考書籍

公共施設マネジメントについて詳しく知りたい方は次の書籍が参考になるかと思います。

 

「公共施設が劇的に変わるファシリティマネジメント―オフィスの効率化・窓口改善から遊休施設・廃校舎・空きスペースの活用、災害対応まで」(小島卓弥・八上俊宏・金城雄一、学陽書房、2012年)

難易度★★☆☆☆

公共施設マネジメントについて事例を交えながら解説しています。

苦しい財政状況のなか、自治体が進める公共施設マネジメントについて事例を紹介しながら解説されています。施設マネジメントを考える上でぜひ読んでいただきたい一冊です。

「ここまでできる 実践 公共ファシリティマネジメント」(小島卓弥、学陽書房、2014年)

難易度★★☆☆☆
先述本の続編といえる書籍です。
事例が豊富に掲載されており、特に、公共施設の耐震性能の確保について「建替」か「耐震化又は免震等による改修」のどちらで対策を行うかが議論になることが多いですが、鳥取市における議論の経緯と騒動の記述はほかのまちにおいても対策を考えたい事例になっています。